日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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適合溶質シトルリン生合成の鍵酵素N-acetylglutamate kinase
*明石 欣也三輪 和哉高原 健太郎高原(芳野) 杏利横田 明穂
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p. 0322

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抄録
シトルリンは、活性酸素ヒドロキシルラジカルの消去に優れる適合溶質であり、乾燥強光耐性の野生種スイカにおいて、ストレス時の葉に高蓄積する。野生種スイカ葉の粗抽出液を用いたこれまでの解析により、シトルリン生合成の律速酵素と考えられるN-acetylglutamate kinase (AGK)の活性が、ストレス下の葉において上昇することが判明している。しかしながら、本酵素の構造や諸性質については不明であった。そこで、野生種スイカ葉よりAGKのcDNAを単離し配列を決定した。得られたCLAGKの予想アミノ酸配列は、シロイヌナズナ相同遺伝子のアミノ酸配列と79%の配列相同性を有していた。またCLAGKは、そのN末端領域に葉緑体移行シグナルと予想される付加配列を有していた。さらに、AGK触媒活性の制御因子と示唆されているPIIタンパク質のcDNAを単離すると共に、ウェスタン解析によりその蓄積量を解析した。その結果、乾燥強光下の野生種スイカ葉において、CLPIIタンパク質の蓄積量が顕著に増大することが判明した。現在、CLAGKの酵素学的諸性質とCLPIIによる制御様式を解明するため、両者の組換体タンパク質を用いて生化学的特性を解析している。
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© 2010 日本植物生理学会
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