日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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強光ストレス下におけるシロイヌナズナANAC078によるフラボノイド生合成系の制御
*森下 輝之小島 雄介長田 龍治松田 峻丸田 隆典横井(西澤) 彩子薮田 行哲重岡 成
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p. 0326

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抄録
当研究室では、シロイヌナズナから強光(HL)応答性のNAC転写因子(ANAC078)を単離した。これまでに形態形成や環境ストレス応答などに関与するいくつかのNAC遺伝子の報告があるが、ANAC078の機能は明らかではない。そこで、HL下におけるANAC078のターゲット遺伝子の同定を試みた。
マイクロアレイ解析により、HL下におけるANAC078過剰発現株(Ox-ANAC078)で野生株に比べ、フラボノイド生合成の制御因子であるPAP1,TT2,AtMYB4の発現が誘導されていた。これらの遺伝子のHL応答性を解析した結果、野生株に比べOx-ANAC078で顕著に高く、ANAC078ノックアウト株(KO-ANAC078)で低下していた。また、他のフラボノイド生合成制御因子の多くはPAP1,TT2,AtMYB4と同様の発現パターンを示した。さらに、これらのフラボノイド生合成制御因子の発現に伴い、生合成経路に関与する酵素遺伝子群の発現も変化していた。また、アントシアニン量は、野生株に比べOx-ANAC078では有意に増加しており、逆にKO-ANAC078では低下していた。以上のことから、ANAC078はHL下においてフラボノイド生合成制御因子の発現制御を介し、アントシアニン合成の制御に関与することが明らかになった。
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© 2010 日本植物生理学会
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