抄録
これまでに我々は強光応答性の熱ショック転写因子(HsfA2)を同定し、この因子が種々の酸化的ストレス応答・順応を制御するキーレギュレーターであることを明らかにした(Plant J. 2006)。本研究ではHsfA2の発現制御機構を解明するため、HsfA2プロモーターに存在するストレス応答性のシス配列と制御因子の同定を試みた。まず、種々の長さに切断したHsfA2プロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を連結し、シロイヌナズナロゼッタ葉を用いた一過的レポーターアッセイを行なった。その結果、HsfA2の転写開始点から-191 bpから108 bpの領域の欠損で強光応答性のルシフェラーゼ活性の増加が顕著に抑制された。この領域にはHsfの認識配列である熱ショック配列(HSE)が存在していたことから、HsfA2は他のHsfに制御されていることが示唆された。そこで、転写活性化能を有する種々のクラスA Hsfキメラリプレッサー過剰発現株(CRES-T)を用いて、HsfA2の強光応答性の発現に及ぼす影響を解析したところ、HsfA1dおよびHsfA1eのCRES-T株のHsfA2の強光応答は著しく抑制されていた。現在、HsfA1dおよびHsfA1eのHSEを介したHsfA2の制御機構と、これらの欠損あるいは過剰発現が表現型に及ぼす影響を解析している。