日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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青色光受容体フォトトロピンの"Flippase-kinase"としての役割の解明
*相原 悠介山本 隆晴武宮 淳史鈴木 友美加藤 詩子梅田 真郷田中 一馬島崎 研一郎長谷 あきら
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p. 0350

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抄録
フォトトロピン(phot)は光屈性・葉緑体運動・気孔開口等を制御する青色光受容体である。photは青色光依存的にキナーゼ活性を示すが、どのような分子のリン酸化/機能制御を担うのか不明である。我々は、photとキナーゼ領域において高い相同性を示す、出芽酵母のFpk1 (Flippase kinase 1)およびFpk2に着目した。Fpkはリン脂質トランスロケース”Flippase”をリン酸化により活性化すると示唆されている。Flippaseは、生体膜脂質二重層間におけるリン脂質の非対称分布を形成・調節することで、多彩な細胞機能に寄与する。
本研究ではまず、photが出芽酵母におけるFpkの機能を相補するか調べた。出芽酵母のfpk1fpk2欠損変異株は、アミノリン脂質結合ペプチドによる致死作用に対し高感受性を示す。またFlippaseのサブユニットをコードするCDC50遺伝子の欠損変異と合成致死を示す。これらの表現型は、シロイヌナズナのphotを導入することで相補された。一方、シロイヌナズナにおいてはFlippase遺伝子としてALA1~12が報告されている。そこでこれらの欠損変異体の幾つかを調べたところ、ala3変異体において青色光による気孔開口が見られなかった。これらの結果から、photがALA3の機能を制御することで気孔開口シグナルが伝達されると仮説を立て、解析を進めている。
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© 2010 日本植物生理学会
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