日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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光合成ステート遷移における集光アンテナタンパク質のリン酸化
*得津 隆太郎皆川 純
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p. 0372

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抄録
植物が吸収した光エネルギーは、チラコイド膜中に存在する2つの光化学系(PSI及びPSII)において化学エネルギーに変換されている。自然界のように様々に変化する光環境下では、光合成効率を最適に維持するために、2つ光化学系間を集光アンテナタンパク質(LHCII)が移動する事が知られている(ステート遷移)。これまで、ステート2遷移の際、PSIとLHCIIの結合には、LHCIIのリン酸化が必須であるとの仮説が報告されているが、いまだ直接的な証拠は報告されていない。本研究では、単細胞緑藻クラミドモナスのLHCIIリン酸化酵素欠損変異体を用い、ステート遷移におけるLHCIIリン酸化の寄与について解析した。変異株における蛍光測定の結果、ステート2誘導条件下では、PSII-LHCIIの解離には変化が見られなかったにも関わらず、PSI側の励起状態の上昇が観察された。また、この変異体では野生株と同様のPSI-LHCI/II超複合体が形成され、超複合体中にはリン酸化LHCIIが含まれていないことが明らかとなった。これらの結果を合わせ、ステート遷移中のLHCIIのリン酸化及び移動について、最新のモデルを報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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