日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの開花時における雄しべと花弁の同調した発達に異常がみられるdefective coordination1突然変異体の分子遺伝学的解析
*田畑 亮軸丸 裕介勝又 卓己黒森 崇和田 拓治神谷 勇治山口 信次郎中村 研三石黒 澄衞
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p. 0387

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抄録
花は植物にとって生殖器官であり、確実に子孫を残すために、各花器官が開花時に協調的な発達、成熟をして効率の良い受粉を達成している。特に雄しべと花弁の協調的な発達は重要であり、花弁の伸長によって花が開き、同時に伸長、成熟した雄しべが露出することで受粉可能になる。この雄しべと花弁の同調した伸長および葯の裂開には、ジャスモン酸(JA)の働きが重要である。我々は、雄しべと花弁の伸長の同調性が乱れる、つまり野生型と比較して雄しべの伸長時期が早まり、花弁の伸長が抑制されるdefective coordination1 (deco1)突然変異体を単離した。活性型ホルモン一斉解析をおこなったところ、花序におけるJA量が野生型の約30%に減少していることが明らかとなった。さらに、JAおよびJA中間産物、代謝物の一斉測定の結果、deco1突然変異体の花序ではβ酸化以降の経路が抑制されていることがわかった。ポジショナルクローニングをおこなったところ、DECO1は機能未知のシトクロームP450モノオキシゲナーゼをコードしていることが明らかになった。また、PDECO1-GUSは開花時の花糸に特異的な発現パターンを示した。以上の結果より、開花時の花糸においてDECO1依存的に合成されるJAが花弁へ移動し、開花(花弁伸長)をうながしていることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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