日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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表層微小管による二次細胞壁形成制御の分子機構
*小田 祥久飯田 有希福田 裕穂
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p. 0396

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抄録
植物細胞は、分化に伴って細胞壁および細胞形態を劇的に変化させ、高度な機能を獲得する。このような現象は、セルロース微繊維の方向と部位を制御する表層微小管に大きく依存している。さまざまな形態をもたらす柔軟かつ正確な表層微小管の編成はどのようにして実現されているのであろうか。本研究では、規則的な二次壁肥厚を引き起こす道管分化をモデルとして、表層微小管の制御機構の解明に取り組んでいる。我々が開発した細胞分化誘導系は、後生木部道管のマスター転写因子VND6を発現させることで80%以上の細胞が同調的に壁孔型の二次細胞壁を形成し、道管に分化する。この分化誘導系を用いて分化に伴う表層微小管の分布を解析したところ、壁孔が形成される領域において局所的に微小管が消失する様子がみられた。この領域の表層微小管の動態を解析した結果、微小管の伸長速度、脱重合速度は通常の表層微小管と大きな差が見られなかったが、通常の表層微小管よりもカタストロフィの頻度が高く、レスキューの頻度は低かった。このことから、この領域では微小管が脱重合されやすい状態にあると考えられた。マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析に基づき、このような局所的な微小管の動態制御を引き起こす分子機構について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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