日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのリテンションタンパク質LSD1を介した細胞死誘導機構におけるオーキシン応答転写制御系の役割
西本 奈未高林 賢吾荒瀬 文西出 圭太田中 淨Dangl Jeffrey L.*上中 弘典
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p. 0425

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抄録
シロイヌナズナの細胞死制御因子LSD1は細胞質で細胞死の誘導に関わる転写因子上の”GxP”モチーフを介して相互作用し、核移行を抑制するリテンションタンパク質として機能することで、間接的に細胞死の誘導に関与していることを明らかにしてきた。本研究ではLSD1を介した細胞死の誘導機構を明らかにするために、LSD1と相互作用するIAA8を含むAux/IAA転写抑制因子、並びにオーキシン応答転写制御系について注目して研究を行った。酵母のツーハイブリット法を用いた解析、及びAux/IAAの細胞内局在を調べた結果、ドメインII上の”GxP”モチーフをもつAux/IAA全てがLSD1と特異的に相互作用するわけではなく、またLSD1と相互作用するAux/IAA全てが核と細胞質の両方に局在するわけではないことを明らかにした。さらに、lsd1-2よりも早く細胞死が誘導されたlsd1-2 iaa8-1において、オーキシン、及び細胞死のマーカー遺伝子が早く誘導されていることを明らかにした。またマイクロアレイを用いた発現解析により、lsd1-2において細胞死を誘導することで、30以上のオーキシン応答性遺伝子が強く誘導されることも明らかにした。これらの結果から、LSD1を介した細胞死誘導機構には、LSD1と相互作用するAux/IAAの機能、及びオーキシン応答転写制御系が関与していると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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