日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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低窒素栄養条件におけるシロイヌナズナの窒素栄養獲得戦略:NRT2.4の機能解析
*木羽 隆敏榊原 均
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p. 0436

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抄録
窒素は植物の成長・発達に多量に必要とされる元素である。しかし、自然環境下では窒素栄養供給量は低いため、植物は低窒素栄養条件で生育していることが多い。植物はこのような環境下で効率的に窒素栄養を吸収・利用するメカニズムを備えていると考えられるが、その分子機構に関する知見は少ない。
本研究では、低窒素適応応答に関わる因子の候補として、高親和性硝酸イオン輸送体(NRT2)ファミリーの一員であるNRT2.4の機能解析を行った。NRT2.4 は窒素栄養状態の低下に従い、根で発現誘導される。この発現誘導は低窒素栄養状態特異的であり、リン、硫黄欠乏やストレスによる誘導は見られなかった。また、この発現誘導は硝酸イオン、アンモニウムイオン、グルタミンの何れによっても抑制された。プロモーター::GFP 融合遺伝子を発現する形質転換植物では、GFP蛍光は主に側根の表皮細胞で観察された。T-DNA挿入変異体 (nrt2.4)は、低窒素栄養条件で育てた場合のみ、硝酸イオン取り込み活性の低下を示した。この取り込み活性の低下の割合は、硝酸イオン濃度が低いほど(50 μM以下)顕著に見られた。以上の結果等を踏まえ、低窒素栄養適応応答におけるNRT2.4の生理的役割について考察したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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