日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのフロリゲン FT 蛋白質の長距離伝達性の解析
*吉田 昌泰野田口 理孝大門 靖文阿部 光知遠藤 求荒木 崇
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p. 0452

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抄録
シロイヌナズナでは外的要因(日長、光質、温度など)および内的要因(齢、大きさなど)により、葉の維管束篩部で FLOWERING LOCUS T (FT) 遺伝子が発現する。FT 蛋白質は篩管を通って長距離輸送され、茎頂において bZIP 型転写因子 FD 蛋白質と相互作用し、花芽形成に重要なAP1 など下流遺伝子を制御する。これらから FT 蛋白質は長距離伝達性の花成シグナル(フロリゲン)であるとされる。しかし、これまでの研究では FT 蛋白質の葉から茎頂への長距離移行の時間的側面や輸送の制御機構は解明されていない。
FT 蛋白質の長距離輸送を確認するため、われわれは熱ショック蛋白質プロモーターの制御下で、一過的に局所で FT 蛋白質の発現を誘導する系を用いた。本来の発現部位である葉身において FT 遺伝子を一過的に発現させ、茎頂に到達した蛋白質の検出を試みることで、FT 蛋白質は葉で発現後、どれくらいで葉を脱出し、茎頂に到達できるかについて検証できる。また、生理学的実験から、花成時期と茎頂に到達した FT 蛋白質の量の関係についても情報が得られる。
さらに、FT 蛋白質内で長距離伝達性に重要な部位を網羅的に探索するため、1アミノ酸残基を改変した FT 蛋白質を用い、同様の実験系で花成時期の計測及び、茎頂での FT 蛋白質の検出を行っている。
以上の結果について報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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