日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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花成に伴う変化におけるシロイヌナズナTCP遺伝子の機能解析
*丹羽 優喜平岡 和久大門 靖史遠藤 求荒木 崇
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p. 0453

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抄録
長日植物であるシロイヌナズナでは、長日条件下において葉の維管束篩部でFT遺伝子が発現し、茎頂に移動したFT蛋白質がbZIP型転写因子FDと相互作用してAP1などの下流遺伝子の転写を制御することによって花の形成を開始させると考えられている。しかし、遺伝学的研究などの知見から、FT蛋白質の花成促進機能はFD蛋白質に完全には依存しないと考えられる。また、花成に伴って、花の形成開始だけでなく、植物体全体で様々な変化が起こるが、そうした変化とFT蛋白質の関わりは明らかになっていない。われわれはこれまでに、酵母ツーハイブリッド法およびBiFC法を用いて、FT蛋白質と相互作用する因子として、新たにTCP転写因子群に属する蛋白質を同定した。この中には、細胞分裂や増殖、葉の形態、側芽の伸長に関わることが報告されているTCP転写因子が含まれており、これらのTCP転写因子が花成に伴う様々な変化に関わっている可能性がある。現在われわれは、花成に伴う変化におけるTCP遺伝子の機能解明を目的として研究を行っている。TCP18(BRC1)は、側芽の形成・発達を抑制するという報告があることから、FT蛋白質がTCP18との相互作用を介して側芽の発達に寄与する可能性が考えられる。側芽の発達を中心に、花成に伴う様々な変化を引き起こす分子機構について、tcp変異体及びft変異体の解析から得られた結果を報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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