抄録
Acaryochloris marina(MBIC 11017)(A.marina)はChl dを主な色素とするシアノバクテリアであり、近年研究が進んでいる。Chl dはChl aより約30 nm遠赤外の光を吸収するので、A. marinaは既知の酸素発生型の光合成生物よりも10%ほど低いエネルギーで光合成系を駆動することができる。この光化学系IIがどのような機構でうまく光反応を行うかは興味深い。本研究ではA. marinaの出すChldの遅延蛍光測定によってPSIIの電子受容体キノンとS2状態間の電荷再結合反応を測定し、シアノバクテリアとの酸化還元電位の違いを検討した。PAM 測定と77K低温蛍光スペクトル解析を行いエネルギー移動過程を検討した。