日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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Anabaena sp. PCC 7120における初期ヘテロシストパターン決定に関する研究
*豊島 正和佐々木 直文藤原 誠得平 茂樹大森 正之佐藤 直樹
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p. 0489

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抄録
糸状性シアノバクテリアには、窒素飢餓状態になるとヘテロシストを形成するものがある。ヘテロシストは窒素固定に特化しており、分裂しない。Anabaena sp. PCC 7120はヘテロシスト形成のモデルとして、遺伝学的・生理学的研究に詳しく研究されてきた。この糸状体は約10細胞に1個という間隔でヘテロシストを形成し、最初にヘテロシストに分化する細胞の決定はランダムと見なされていた。昨年の年会において我々が発表したヘテロシスト分化の新規観察系は、固形培地を用いて、同時に10~20個の糸状体の経時変化を追跡でき、しかも液体培養と同じ時間で分化が行われる初めての系である。本研究では、この新規観察系を用いてAnabaena sp. PCC 7120 のヘテロシスト分化の過程を継時的に観察し、ヘテロシスト分化において窒素飢餓後の分裂が必須ではないこと、ヘテロシストに分化する細胞では周りの細胞に比べて、窒素飢餓直後からヘテロシスト分化のスイッチとなる遺伝子であるhetRの発現が特に強く誘導されること、糸状体は4細胞を基本単位とした周期を持ち、この細胞セットの両端の細胞が最初にヘテロシストに分化する可能性が高いこと等を明らかにした。これらのことからヘテロシストに分化する細胞の候補は窒素飢餓直後、または窒素飢餓以前から決められていると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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