抄録
陸上植物の葉内を透過する際、太陽光は吸収・反射・屈折を繰り返す。このため葉内の光環境は上層から下層に向かって質的・量的に大きく変化する。陸上植物が効率的な光合成を維持するためには、この光環境に対応する必要があると考えられる。このような対応を解析するため、本研究では、まず、ソラマメ葉内の光環境を、光ファイバープローブを接続した分光器で測定した。上面から垂直に光を照射すると、青色光と赤色光は柵状組織で反射・吸収され、海綿状組織上面の光強度は3.54%に低下し、緑色光(λ=550μm)が残った。この緑色光は、さらに、海綿状組織に反射・吸収され、下面では4%以下の光強度に低下した。この光環境に対応して、柵状組織と海綿状組織は異なる吸収スペクトルを示した。柵状組織と海綿状組織の対応の違いを調べるため、光合成色素とPSIIの応答を測定している。