日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シアノバクテリア概日時計蛋白質KaiCの自己脱リン酸化反応の解析
*大川(西脇) 妙子近藤 孝男
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p. 0520

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抄録
シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC.7942は概日リズムを示す最も単純な生物である。シアノバクテリアの概日時計は試験管内で再構成できることが知られている。概日時計蛋白質KaiA、KaiB、KaiC をATPと混合することによって、KaiCリン酸化の概日リズムが観察される。KaiC のリン酸化状態は、自己リン酸化活性および自己脱リン酸化活性により制御されている。KaiC はATP 存在下で6量体を形成する。ATP はサブユニットの境界に結合し、隣接するプロトマー上の2つの自己リン酸化部位S431とT432をリン酸化するものと考えられる。KaiC上には、ATPaseやプロテインキナーゼの活性に重要なP-loopが存在するが、プロテインホスファターゼとの相同性は見られない。
これまで、KaiCの自己脱リン酸化反応の機構についてはあまり研究されてこなかった。そこで、KaiCもプロテインホスファターゼと同様の機構で脱リン酸化反応を行っているかどうかについての手がかりを得るため、まず放射性ATP存在下でKaiCをリン酸化し、その脱リン酸化過程を追跡した。得られた結果をもとに、KaiCの自己脱リン酸化機構について議論する。
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© 2010 日本植物生理学会
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