日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの種子休眠性獲得に欠損のある新規変異体の原因遺伝子のクローニング
浅野 智也皆巳 大輔加賀谷 道子*加賀谷 安章服部 束穂
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p. 0526

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抄録
植物ホルモンABAが種子休眠の制御に重要な役割を担うことは広く知られている。シロイヌナズナのfus3変異体は種子休眠性を失うことが報告されているが、そのメカニズムの詳細はほとんど知られていない。我々は、FUS3下流の休眠制御メカニズムを解析するために、エストロゲン誘導性FUS3異所発現形質転換植物を変異原処理し、実生でのFUS3発現による成長停止が緩和した変異体を多数分離した。これらのうち、line 2-44変異体は、FUS3発現下において外から与えたABAに対するCRCAt2S3およびRab18の発現応答の低下が観察されたことから、ABA感受性が低下した変異体であり、また、早熟発芽性を示したことから、種子成熟過程での休眠性が低下していることが示唆された。一方、乾燥種子の発芽検定ではline 2-44変異体は逆にABA高感受性を示した。したがって、種子成熟過程および乾燥種子では、line 2-44変異原因遺伝子は、異なるメカニズムでABAによる発芽抑制に関与すると考えられた。この原因遺伝子の機能を理解するために、現在マップベースクローニングを試みている。これらの結果に基づき、胚成長停止、休眠ならびに乾燥種子発芽過程におけるこの原因遺伝子の機能について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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