日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

複葉における小葉パターニング機構の解析
*池内 桃子山口 貴大五十嵐 久子岡田 清孝塚谷 裕一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0542

詳細
抄録
近年、複葉の形態形成に関して分子発生学的な知見が急速に蓄積し、小葉の形成を司る分子基盤が、葉の形成と非常に共通性が高いことが明らかになってきた。一方で、小葉がいつ・どこに形成されるのかといったパターニングに関しては、ほとんど理解が進んでいない。そこで我々は、小葉パターニング機構を明らかにすることを目的とし、求頂的小葉形成を行うケシ科ハナビシソウを材料とし、以下の二つのアプローチを用いた研究を行っている。第一に、laser ablation システムを用いて、葉の発生を物理的に攪乱する実験である。葉原基の発生初期に頂小葉を損傷すると、大規模に損傷した場合には主軸が消失・新規形成し、より小規模に損傷した場合には、先端近くに側小葉が形成された。これらの結果は、頂小葉が、SAM 先端と同様に主軸として機能すると同時に、次に形成される小葉原基に対する抑制効果を持つことを示唆している。第二に、in situ hybridization を用いた、発現解析である。求頂的な小葉形成を行う種では、葉の先端に未分化な組織が維持されていると広く認識されている。しかし、こうした例が特殊な分類群に限られる可能性も排除できない。マーカー遺伝子の発現解析の結果、小葉原基形成中の発生段階において葉の辺縁部全体が分裂活性および未分化性を維持しており、葉の先端基部軸に沿った勾配はないことが分かった。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top