日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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カニクサの造精器形成に対する合成プロゲスチンとプロゲステロン受容阻害剤の影響
*米山 香織柴田 恭美横田 孝雄
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p. 0550

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抄録
GA4-Meはシダのカニクサ(Lygodium japonicum)原糸体上に造精器の形成を誘導する。我々はこの造精器誘導作用が動物ステロイドホルモンであるプロゲステロンおよびアロプレグナノロンにより阻害されることを報告している。今回は、合成プロゲスチン、合成女性ホルモンおよびプロゲステロン受容阻害剤が、カニクサの造精器形成に与える影響を検討した。その結果、100%造精器を誘導する条件下で、合成プロゲスチンの5α-estran-17α-ethynyl-17β-ol-3-oneと5α-estran-17α-ethynyl-3α,17β-diolを与えると、10 μMで造精器形成がそれぞれ10%、0%に低下することが示された。一方、4-pregnen-6α-methyl-17-ol-3,20-dione acetateと4-pregnen-6α-methyl-17-ol-3,20-dioneは、GA4-Meの造精器誘導作用を著しく促進した。以上の結果から、カニクサはプロゲスチンを受容する部位をもつことが示唆された。また、ヒトのプロゲステロン受容阻害剤は、カニクサの造精器形成に影響しなかったため、カニクサのプロゲステロン受容体はヒトの受容体とは異なった受容特性を示すものと考えられた。
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© 2010 日本植物生理学会
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