抄録
9 位型オキシリピンである KODA (9-hydroxy-10-oxo-12(Z),15(Z)-octadecadienoic acid) は花成誘導関連物質としてアオウキクサ (Lemna paucicostata) から単離, 同定されている (2000 年 横山ら, 2001 年 山口ら). KODA は, 9-リポキシゲナーゼ, アレンオキシドシンターゼを介して生合成されると考えられる (2002 年 Feussner ら). 本研究では KODA の効率的な製造を目指してアオウキクサ由来 9-リポキシゲナーゼ遺伝子のクローニングを行った. アオウキクサ SH 株, 441 株から RNA を抽出し cDNA とした後に, 縮重PCRにより, リポキシゲナーゼの部分配列を得た. それぞれ 3’, 5’ RACE により完全長 cDNA 配列を取得し, SH 株から 1 配列, 441 株からは 2 配列の新規リポキシゲナーゼホモログをクローニングした. 得られたリポキシゲナーゼ遺伝子を大腸菌に導入し, 組換えタンパク質として発現させた. 組換えタンパク質を用いて, α-リノレン酸を基質とした酵素反応を行った結果, 今回クローニングしたリポキシゲナーゼは, 目的とする 9-リポキシゲナーゼであることが示唆された.