抄録
イネ(Oryza sativa L. cv. Nipponbare)の染色体DNA中の複製フォークを標識し検出した。植物材料であるイネ懸濁培養細胞は7日ごとに継代して維持した。細胞がもっとも活発に増殖する時期、すなわちS期にある細胞が最も多い時期である植え継ぎ後5日目の細胞にブロモデオキシウリジンを与え、複製中のDNAをパルス標識した。次に、簡便な方法で核を単離した。スライドガラス上で核から染色体DNAを抽出し伸展させた。そして、抗ブロモデオキシウリジン抗体と蛍光標識した二次抗体を用いて標識された部位を検出した。この結果、蛍光顕微鏡下で複製フォークを観察することができた。さらに、レプリコンサイズを測定することができた。今後は、これらの結果をもとにして、イネを含む高等植物では未知の領域である染色体DNAの複製開始点をクローニングし、染色体上の位置を特定することを目指す。