日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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HSPターミネーターが遺伝子発現に与える影響
*長屋 進吾三河 周平山口 雅利新名 惇彦加藤 晃出村 拓
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p. 0593

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抄録
ターミネーターは遺伝子の3’末端領域に位置し、RNA polymeraseIIの転写終結およびmRNAの3’末端修飾(pre-mRNAの切断、poly(A)鎖付加)を行う。効率の良い転写終結は、発現量を増加させ、かつ下流へのリードスルーを減少させると考えられる。
我々がシロイヌナズナから単離したheat shock protein 18.2遺伝子のターミネーターは、一過性発現実験においてNOSターミネーターの数倍の発現を示した(2009年度 本大会報告)。この発現の増加はシロイヌナズナ形質転換体においても認められ、NOSターミネーターよりも高頻度に高い発現を示すT1植物が得られた。また発現量の増加に加えて発現部位への影響を調べるため、組織特異的発現を示すタバコADHプロモーターを用いた解析を行った。HSPターミネーターはNOSターミネーターと同様の発現パターンを示し、プロモーターの組織特異性に影響を与えないと考えられた。シロイヌナズナシングルコピー形質転換体を用いた解析では、HSPターミネーターと翻訳エンハンサー(タバコADH 5’-UTR)を組み合わせることにより、葉では100倍、根では250倍の発現増加が認められた。現在、HSPターミネーターのシス領域の限定を行っている。
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© 2010 日本植物生理学会
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