日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの胚軸脱分化過程におけるプレmRNAスプライシング能力の制御とその意義
*大谷 美沙都花田 耕介諸澤 妙子石田 順子田中 真帆松井 章裕篠崎 一雄豊田 哲朗関 原明出村 拓杉山 宗隆
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p. 0597

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抄録
私たちは器官再生に関して温度感受性を示すシロイヌナズナ変異体を用いて、分化全能性発現の分子機構の解析を行ってきた。変異体の中でもshoot redifferentiation defective 2srd2)とroot initiation defective 1rid1)は共通した特徴をもち、どちらも胚軸の脱分化や新たな分裂組織の形成が強い温度感受性を示す。これまでの解析により、SRD2が核内低分子RNA(snRNA)の転写活性化因子であり、胚軸脱分化の進行にはSRD2によるsnRNA蓄積量増大が必要であること、RID1はDEAH型RNAヘリカーゼをコードしていることを明らかにしている。
RID1は、出芽酵母でプレmRNAスプライシングに働くPrp22と、アミノ酸配列がよく似ている。このことから、RID1もスプライシングに関与すると考えられる。これは、SRD2に依存したsnRNAレベル上昇の役割が、スプライシング能力の増大にあることを示唆している。そこで、胚軸脱分化における選択的スプライシングパターンを調べたところ、いくつかの遺伝子でsrd2変異の影響が認められた。現在、スプライシングに対するsrd2変異、rid1変異の影響を網羅的に調べるためタイリングアレイ解析を行っており、その結果も合わせて、脱分化過程におけるスプライシング制御の役割を論じたい。
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© 2010 日本植物生理学会
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