日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ウツボカズラ(Nepenthes alata)の捕虫器溶液に存在するクラスIVキチナーゼ(NaCHIT1)のキャラクタライゼーション
*濱田 達朗津野 義久石崎 佳奈本多 裕司
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p. 0607

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抄録
食虫植物は痩せた土地に生育し、葉が特殊な形状をした捕虫器官で昆虫などの小動物を捕らえ、分解、吸収することにより必要な養分を得ている。食虫植物の一種であるウツボカズラ(Nepenthes)はつぼ状の捕虫器を有し、それで昆虫などの獲物を捕える。捕虫器内には液体が満たされており、そこにはアスパラギン酸プロテアーゼ(ネペンテシンIおよびII)やキチナーゼ、β-1,3-グルカナーゼ、タウマチン様タンパク質などが含まれている(Hatano & Hamada, 2008)。それらは獲物の分解と捕虫器溶液中でのバクテリアの増殖抑制に関わっていると考えられた。我々はNepenthes alataの捕虫器溶液に含まれるクラスIVキチナーゼ(NaCHIT1)の役割を明らかにするために、NaCHIT1遺伝子のサザン解析および発現解析、ならびに大腸菌由来組み換えNaCHIT1を用いた酵素活性の測定をおこなった。NaCHIT1遺伝子はシングルローカス遺伝子と考えられ、NaCHIT1mRNAは捕虫器の発達とともに発現量が増加してくることが明らかになった。組み換えNaCHIT1を用いて活性測定をおこなったところ、キチンオリゴ糖に対する加水分解活性が見られた。
Hatano, N. & Hamada, T. (2008) J. Proteome Res. 7, 809-816.
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© 2010 日本植物生理学会
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