日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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銅キレータ・トリエンチンによるトウモロコシCuZn-SODの誘導機構
*金松 澄雄山崎 健太郎坂本 直大
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p. 0608

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抄録
シロイヌナズナのmicroRNA・miR398はCuZn-SOD mRNAをdown-regulateし、ストレス応答や銅代謝で重要な役割を演じている。Yamasakiら(2007)は、銅欠乏下では、up-regulated miR398により葉緑体CuZn-SODの生成が抑制され、代替的に葉緑体Fe-SODが誘導されることを報告している。我々は先に、キレータ・トリエンチン(TET)を与えたトウモロコシで、CuZn-SOD活性が増加することを見いだした。今回は、この誘導機構の解明を目的として、TET処理トウモロコシおよびイネのCuZn-SOD遺伝子発現を検討した。TETと構造類似のポリアミン・スペルミジンはトウモロコシのSODを誘導せず、またEDTAも誘導しないことから、トウモロコシCuZn-SODの誘導はCuに特異的なTETのキレータとしての効果である。TET処理(1-10 mM、24-48h)により、明および暗条件下でトウモロコシSOD活性は増加したが、イネでは増加せず、この時の光合成活性に対するTETの影響をクロロフィル蛍光で検討した結果、1 mM TETの場合、明条件下のほうが光合成活性が幾分低くなった。SOD誘導は暗条件下の方がより大きいことから、活性酸素の関与は否定できる。これらにより、C4とC3植物でmicroRNAを介したSODの制御機構は異なることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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