日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナにおけるスルホ糖脂質合成酵素の活性発現制御機構の解析
*室伏 和博下嶋 美恵太田 啓之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0613

詳細
抄録
植物の葉緑体チラコイド膜を構成する糖脂質は、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)、スルホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)の3つであるが、このうち、SQDGはUDP-スルホキノボース合成酵素(SQD1)とSQDG合成酵素(SQD2)によって生成される。近年、ホウレンソウにおいてフェレドキシン依存型グルタミン酸合成酵素(Fd-GOGAT)とSQD1が安定複合体を形成していることがわかり、スルホ糖脂質代謝と窒素同化との相互調節の可能性が示唆された。そこで我々は、Fd-GOGATを欠損したglu1glu2両変異体における脂質解析及びSQDG生合成に関わる遺伝子の発現解析を行った。その結果、glu1glu2では、通常生育条件下におけるSQDGの相対含量が野生型に比べて有意に減少していることがわかった。また、遺伝子発現解析の結果、glu2ではSQDG合成に関わる遺伝子群の発現が減少していたが、glu1では変化が見られなかった。さらに、glu1glu2ともにAPS還元酵素遺伝子の発現減少が見られた。これらの結果から、Fd-GOGATとSQD1との相互作用が直接的にSQDG合成に影響している可能性と、Fd-GOGATの欠損がもたらす遺伝子発現変化によってSQDG生合成が負に制御されている可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top