日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの花粉発達過程におけるホスファチジルセリンの細胞内局在とその生理的意義
*山岡 靖代Choi YunjungYu Yanbo溝井 順哉藤木 友紀Lee Youngsook西田 生郎
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p. 0616

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抄録
酸性リン脂質ホスファチジルセリン(PS)は、シロイヌナズナの葉や根ではプラスチド外脂質の1.9%および5.9%しか含まれていないが、花序においては20.6%を占める主要膜脂質である。我々はシロイヌナズナのPS合成酵素AtPSS1が根や葯および成熟胚に比較的高いレベルで発現し、ER膜および核膜に局在し、in vitroでホスファチジルエタノールアミン(PE)をPSに変換する活性をもつこと、また、atpss1変異は花粉の発達を部分的に阻害することを明らかにしている。
今回、葯におけるPSの生理的役割を解明するために、Lactadherin のPS結合モチーフと蛍光タンパクを結合させたPS バイオセンサーLactC2-eGFP (Yeung et al., 2008)を形質転換シロイヌナズナで発現させ、PSの細胞内局在を調べた。花粉発達の早期段階であるテトラド期ではLactC2-eGFPは核膜に局在したが、花粉小胞子では核に局在せず、ミトコンドリア様のオルガネラに局在を示した。以上の結果は、PSの局在が核からミトコンドリアに移行することが花粉の発達にとって重要であることを示唆している。
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© 2010 日本植物生理学会
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