日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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緑藻クラミドモナスのMGDG合成酵素遺伝子の単離と酵素学的解析
*増田 華子長田 英里香下嶋 美恵佐藤 典裕太田 啓之
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p. 0617

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抄録
高等植物の葉緑体とシアノバクテリアは共に、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)を主要膜構成成分としているが、MGDGの合成経路は両者で異なる。高等植物ではMGDG合成酵素が、シアノバクテリアではモノグルコシルジアシルグリセロール(MGlcDG)合成酵素が、それぞれのMGDG合成経路を担っている。
緑藻クラミドモナスは、植物型MGDG合成酵素(MGD)とシアノバクテリア型MGlcDG合成酵素(MGlcD)の両遺伝子のホモログを有するが、クラミドモナス膜画分ではUDP-ガラクトースを基質とした高等植物型のMGDG合成が行われていることが分かった。そこで我々は、クラミドモナスのMGD遺伝子(CrMGD)を単離し、大腸菌で発現させたリコンビナント酵素の生化学的解析を行い、キュウリMGD(CsMGD)の酵素特性と比較した。
CrMGD、CsMGD共に、至適pHが7.5付近であり、MgCl2、CaCl2の添加によりMGDG合成活性が増加し、またCuCl2、ZnCl2の存在下では活性が阻害された。一方、CsMGDではホスファチジン酸による活性化が見られたが、CrMGDでは見られなかった。これらの結果より、CrMGDの活性制御が高等植物MGDのそれとは異なる可能性が示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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