抄録
phosphatidate phosphatase(PAP)はphosphatidic acid (PA) を脱リン酸化し、diacylglycerol(DAG)を生成する酵素である。DAGは糖脂質、リン脂質、中性脂質の共通の基質となるためにPAPは脂質代謝において非常に重要であると考えられている。我々はこれまでに、膜局在型PAPであるlipid phosphate phosphatases (LPP) (Nakamura et al. (2007) J Biol Chem)に続き、シロイヌナズナの2つのPAP、phosphatidate phosphohydrolase 1, phosphatidate phosphohydrolase 2(PAH1,PAH2)を単離し、pah1pah2二重変異体を用いた解析の結果を報告してきた。これらの解析により、この二つのPAPが共にサイトゾルに存在することなどを明らかにし、通常生育時のガラクト脂質合成において真核型経路で重要な役割を果たしてること、さらにリン欠乏時における膜脂質転換において不可欠な働きをしていることを示した(Nakamura et al. 2009 PNAS)。
今回この二つの可溶性PAPが貯蔵脂質合成経路に及ぼす影響を調べたので、その結果を報告する。