日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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蛍光波長変換タンパク質kikumeを用いたオートファジー分解系の解析
*田崎 麻衣子浅妻 悟松岡 健
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p. 0618

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抄録
飢餓状態において誘導される分解系として、オートファジーが知られる。我々は、タバコ培養細胞BY-2株に、チトクロームb5と赤色蛍光タンパク質の融合体、Cyt b5-RFPを発現させ、Cyt b5-RFPの蛍光分布の変化及び切断を指標とすることで、オートファジーによる分解の定量的解析を進めてきた。しかし、この実験系では、オートファジー誘導前と後に合成されたタンパク質の区別が不可能であり、オートファジー誘導機構についての詳細な解析が進められない。そこで我々は、蛍光波長変換タンパク質である‘kikume’に注目した。このタンパク質は360~410nmの光の照射により、その蛍光を緑色から赤色に変化させる。この性質を用いて、kikumeとチトクロームb5の融合体、Cyt b5-kikumeを用いたオートファジーの定量系を確立した。これまで、この系を用いて、細胞がリン酸飢餓状態初期においては新規のタンパク質合成を行なうこと、そしてリン酸飢餓状態の細胞では、飢餓前(オートファジー誘導前)から存在したタンパク質と共に新規に合成されたタンパク質もオートファジーにより分解されることを見出した。現在、この系を用いて栄養応答性のオートファジー分解系の詳細な解析を進めている。
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© 2010 日本植物生理学会
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