日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物シナプトタグミンSYT1の細胞膜局在性メカニズム
*山崎 誠和上村 松生河村 幸男
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p. 0619

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抄録
シナプトタグミンは、エキソサイトーシスにおけるカルシウム依存的な細胞膜-小胞融合を制御するカルシウムセンサーである。シナプトタグミンは、N末端側に膜貫通ドメインを1つ、C末端側に並列した2つのカルシウム結合ドメイン(C2AとC2B)を持つ。本報告では、シロイヌナズナのシナプトタグミンSYT1の細胞膜への局在が並列したC2A-C2Bドメインによって調節されていることを示す。生化学的な解析結果は、SYT1が細胞膜に埋め込まれており、2つのカルシウム結合ドメインが細胞質側に配向していることを示唆していた。シロイヌナズナの本葉から単離したプロトプラストでGFPを付加したSYT1のトランケートシリーズを一過的に発現させたところ、並列したC2A-C2Bドメインを持つもののみが細胞膜に局在した。シロイヌナズナの3つのSYT1ホモログ(SYT2, SYT4, SYT5)とSYT1のC2Bドメインのアミノ酸配列を比較したところ、SYT1とSYT2のC2Bドメインでは保存されたカルシウム結合モチーフが欠失していた。このSYT1の欠失部位をSYT5のアミノ酸配列に置換した変異体は細胞膜ではなく内膜系に局在しており、SYT5の細胞内局在と類似していた。以上の結果から、SYT1の細胞膜への局在は、植物シナプトタグミンで起った分子進化においてSYT1の機能的分化に必須であったと考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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