日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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トマトの有機酸トランスポーターSltDT1
*松浦 由布子青木 考柴田 大輔金山 喜則山木 昭平山田 邦夫白武 勝裕
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p. 0620

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抄録
果実の食味を決定づける主要因は甘みと酸みであり,両者の好ましいバランスが果実の食味には重要である.果実は有機酸を液胞に高濃度に蓄積しているが,液胞へと有機酸を運ぶトランスポーターは同定されていない。本研究では,かずさDNA研究所のトマト完全長cDNAデータベース (KaFTom) に見出した,シロイヌナズナの液胞膜有機酸トランスポーター遺伝子AttDT (Arabidopsis thaliana tonoplast dicarboxilate transporter) のオルソログSltDT1の機能解析を行い,果実への有機酸蓄積への関与を検討している.SltDT1とGFPの融合タンパク質をタマネギ表皮細胞で一過的に発現させたところ,液胞膜に局在した.定量的PCRによるSltDT1の発現解析の結果から,SltDT1が全身で発現していることが確認された.シロイヌナズナではAttDTにパラログが存在しないことから,SltDT1がトマトにおいて唯一あるいは主要な機能を担うtDTファミリーの遺伝子として,果実を含めた全身で機能しているものと考えられた.果実特異的な2A11プロモーター下でSltDT1を過剰発現させた形質転換トマトを複数系統作出できたため,それらの果実形質の解析結果も併せて報告したい.
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© 2010 日本植物生理学会
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