日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

イネの膜貫通型転写因子OsbZIP39は小胞体ストレス応答を制御する
*高橋 英之若佐 雄也川勝 泰二林 晋平高岩 文雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0625

詳細
抄録
我々は,イネ胚乳に有用タンパク質やペプチドを蓄積した組換え米の開発を進めている.しかし,導入産物によっては,種子が粉質化,白濁化といった死米様表現型を呈してしまうことが分かった.このような種子では,BiP等の小胞体シャペロン遺伝子の発現が上昇しており,異種タンパク質発現による小胞体ストレスが原因であろうと考えた.植物の小胞体ストレス応答の分子機構には不明な点が多いが,近年,シロイヌナズナにおいて膜貫通型のbZIP転写因子が,その制御の一環を担っていることが明らかにされた.そこで,イネゲノム中に存在する89のbZIP型転写因子から,膜貫通領域を有すると推定されるものを3つ同定した.OsbZIP39はbZIPドメインに続いて膜貫通領域を有していた.膜貫通領域以降を欠失させたタンパク質(OsbZIP39ΔC)とGFPの融合タンパク質は,イネプロトプラストにおいて核に局在した.OsbZIP39ΔCは一過性発現によりBiPプロモーターを活性化した.また,ユビキチンプロモーター制御下でOsbZIP39ΔCを過剰発現させた形質転換体では,小胞体ストレス誘導剤処理なしに,BiPタンパク質が高発現していた.以上の結果から,OsbZIP39は小胞体ストレス応答に関わる転写因子であると考えた.
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top