抄録
イネの細胞膜型アクアポリンOsPIPは11種類存在し、アミノ酸配列により1群と2群に分類される。我々はこれまでに、イネにおけるOsPIPの遺伝子発現量を調べたところ、1群が2群より高い値を示した。一方、アフリカツメガエル卵母細胞にOsPIPを発現させて行った水透過性測定実験では、1群の水透過性は低く、2群の値の1/7程度であった。しかし、1群と2群を共発現させると水透過活性は上昇した。そこで、OsPIPのタンパク質発現を確認するためアフリカツメガエル卵母細胞にOsPIP-GFP融合タンパク質を発現させ、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、OsPIP1 -GFPは細胞膜における蛍光強度が、OsPIP 2-GFPの蛍光強度より低いことがわかった。上記の実験結果から、OsPIP1群タンパク質の水透過活性がもともと低いのか、あるいは、OsPIP1群タンパク質の水透過活性はあるが、細胞膜における局在量が低い可能性が考えられる。1群と2群の共発現によって水透過性が増加したのは、1群がより多く細胞膜に局在した可能性がある。そこで、OsPIP1群の細胞内局在の動態を調べるため、OsPIP1群- DsRed融合タンパク質発現系を用いて調べ、さらに免疫電顕による観察を行った。その結果、OsPIP1群タンパク質は細胞膜以外にも局在することが観察された。