抄録
高等植物の原形質膜局在型アクアポリンはPIP1とPIP2の2種類に分類できる。これらPIP2とPIP1はアフリカツメガエル卵母細胞の機能発現系で同時に発現させるとそれぞれ単独で発現させた場合より大きな活性を示すことが知られていて、この現象はアクアポリンの活性調節機構の一つである可能性が指摘されている。PIP1およびPIP2の活性中心に変異を導入し失活させた変異体を用い、正常のものとの共発現を解析した。単独で発現させても大きな水輸送活性のあるPIP2は、失活させたPIP1変異体との共発現で更に大きな水輸送活性を示した。単独で発現させると活性を示さないHvPIP1;2は、失活させたPIP2変異体と共発現させると大きな水輸送活性を示した。タンパク質相補法を使って単量体の結合を調べると、PIP1とPIP2はヘテロマーを形成していた。PIP2単独の場合はPIP2ホモマーの形成は確認できたが、PIP1単独でのホモマーの形成は確認できなかった。現在、原形質膜・小胞体膜を単離してPIP1モノマーの存在状態を確認している。その結果も合わせて報告する。この研究は生研センター基盤研究推進事業によって実施された。