日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのアクアポリンAtPIP2;3の高温誘導性
*土平 絢子前島 正義
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p. 0635

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抄録
アクアポリンは水や多様な小分子を輸送する膜タンパク質である。特に、細胞膜型アクアポリンであるPIPは、細胞内の水ホメオスタシスに重要な役割を果たしていると考えられる。これまでに、PIPsが様々な環境ストレスに応答して発現や局在を変化させるという報告がされている。本研究では、植物の高温適応に関連して、高温条件下のPIPsの転写レベルの変化ならびにタンパク質量の変化を解析した。
シロイヌナズナの13種のPIP遺伝子について発現を解析したところ、温度が30℃を越すと、幼植物のシュートでも根でも、PIP2;3のみが劇的に発現上昇した。この上昇は一過的で、同じ温度に維持しても数時間後には元の発現レベルに戻り、温度を下げた場合もmRNA量は低下した。さらにこの現象は、連続光照射下でも同様な一過的発現上昇がみられたことから、日周や明暗ではなく、温度に依存した応答であると判断される。また、PIP2sのタンパク質量も転写レベルでの変化と同様に高温で誘導され、次第に低下した。このことから、高温で誘導されるPIP2;3は転写レベルがそのままタンパク質蓄積量に反映することが示唆される。この一過的なPIP2;3の増大は、植物の生理的な高温適応に関与していると推測される。
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© 2010 日本植物生理学会
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