日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

植物tRNAリガーゼの生体内機能解析
*赤間 一仁Beier Hildburg
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0638

詳細
抄録
植物の核tRNA遺伝子の中で、tRNATyrとtRNAMet-eをコードする核遺伝子のみがイントロンにより分断されている。tRNAイントロンのスプライシングは3種類の酵素が協調して行う(エンドヌクレーゼ (Sen)によるイントロンの切断、tRNAリガーゼ (RL) によるエキソン同士の連結、そして2’-フォスフォトランスフェラーゼ (Pt)による2’-リン酸基の除去)。これら3種の酵素はGFPを指標とした融合タンパク質の発現から核に共通して局在する。興味深いことに、RLとPtはそのN末端側にオルガネラへの移行シグナルが予測され、これらのGFP融合タンパク質は葉緑体への移行も同時に観察された。葉緑体の前駆体tRNAイントロンはセルフスプライシング型であり、核tRNAスプライシングとはその分子機構は大きく異なる。RLは少なくとも葉緑体では本来のスプライシング機能以外の役割を担っていると推察される。植物RLの葉緑体での機能を解明するために、RL内のリガーゼドメインの保存されたアミノ酸残基に置換を導入した、変異RLをコードする遺伝子を構築し、葉緑体で過剰発現させるための遺伝子カセットを植物発現ベクターに組み込んだ。現在形質転換体の作出を進めている。その成長分化に与える影響、ストレス感受性、葉緑体内でのRNA修復機能などを指標としてRLの機能解析を行う予定である。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top