日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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キメラヒスチジンキナーゼを用いたSynechocystisのHik33のシグナルインプットドメインの解析
*志村 遥平木村 聡白岩 善博鈴木 石根
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p. 0643

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抄録
一般にヒスチジンキナーゼ(Hik)はN末端側のシグナルインプットドメイン(SID)でシグナルを検知し、C末端側のトランスミッタードメインでシグナルを伝達する。ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803は高塩濃度・低温等、様々なストレスに応答するHik(Hik33)を持つが、そのシグナル検知の分子機構は未解明である。Hik33はSIDに二つの膜貫通ドメイン、ペリプラズム領域、HAMPドメイン、およびPASドメインという複数のサブドメインを含む。これらサブドメインのシグナル検知における機能を解明するため、Hik33のSIDをリン酸欠乏応答性Hik(SphS)のC末端側と融合したキメラHikをSphS欠損株で発現させた。このキメラHikはHik33が応答する塩ストレス条件に応答し、SphS下流のアルカリフォスファターゼ遺伝子phoAの発現を制御した。キメラHikのSIDに含まれるHAMPドメインとPASドメインを両方欠損させると、調べたいずれの条件でもphoAを発現できなくなったことから、この欠損はキナーゼ活性を失わせてしまうものだったと考えられた。しかし、HAMPドメインのみの欠損はキナーゼ活性を維持し、また塩ストレス条件でのphoAの発現制御がみられた事から、HAMPドメインはHik33の塩ストレス検知には影響しないことが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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