日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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GAフィードバック制御に機能するキナーゼ・CDPK1のリン酸化部位の解析
安部 悠里伊藤 岳*石田 さらみ高橋 陽介
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p. 0644

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抄録
固着性である植物は生息地に対応して他個体との競争を勝ち抜くために、外部環境から受容する刺激と遺伝情報に基づき発動する発生プログラムを統合して環境に対応するという優れた柔軟性を進化の過程において獲得してきた。我々は、植物の優れた環境適応である自在な伸長成長に着目し、この過程を理解するための要として生合成系と情報伝達系を内包するGAフィードバック制御機構を捉え、分子レベルでの解析に取り組んでいる。
これまでに、GA内生量情報がカルシウム依存性タンパク質キナーゼ・CDPK1によりGA生合成系酵素遺伝子の発現を司る転写活性化因子・RSGに伝達される事を明かとしてきた。 CDPK1はGA内生量上昇によりリン酸化を受ける。 GAフィードバック制御の情報伝達に於けるこのリン酸化の意味を探るため、GAにより誘導されるCDPK1のリン酸部位の同定を質量分析により試みた。又、in vitroリン酸化アッセイからCDPK1の自己リン酸化能を明かとしている。点変異を導入したリコンビナントタンパク質を用いたin vitroリン酸化反応から、自己リン酸化される部位、S259とS429を同定した。これまでに、S259のリン酸化はRSGのリン酸化には必要であるが自己リン酸化には必要ではない事、S429のリン酸化が14-3-3との結合に必須である事等の解明に成功した。
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© 2010 日本植物生理学会
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