日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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新規カチオン結合タンパク質PCaP1は安定的に細胞膜に結合し気孔開閉調節にも関与する
*永田 千咲子加藤 真理子長崎ー武内 菜穂子木下 俊則前島 正義
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p. 0647

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抄録
PCaP1 (plasma membrane associated cation-binding protein-1)はシロイヌナズナの新規タンパク質であり、リジンやグルタミン酸に富み、膜貫通領域を持たずN-ミリストイル化を介して細胞膜に結合している。Ca2+、 Cu2+、PtdInsPs、 CaM/Ca2+ との結合能を持つ (Nagasaki et al. 2008a, b)。遺伝子破壊株pcap1では過剰な銅や病原菌エリシター処理で生育が低下する。本研究ではPCaP1の細胞内局在とその動態を解明するため、PCaP1-GFP融合分子をシロイヌナズナに発現させた。PCaP1は花粉、根端以外の全ての細胞の細胞膜に局在しており、上記のストレス下でもPCaP1の局在は変化せず、安定的に細胞膜に存在していた。PCaP1はどの細胞においても細胞膜に均一に発現していたが、孔辺細胞においては内側には蛍光が見られず外側にのみ観察された。この偏在に注目し野生株とpcap1で気孔開度を測定したところ、暗条件においてpcap1では気孔が閉じにくくなる現象が見られた。pcap1株は乾燥ストレスにも感受性であると推測され検討中である。以上、PCaP1は細胞膜に安定に結合しており、PtdInsPs や CaM/Ca2+と相互作用することで細胞内のシグナル伝達に関与していると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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