日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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根伸長のpHに対する応答の植物種間比較
樋口 恭子*小野 宏太伊藤 崇大瀬 直樹三輪 睿太郎
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p. 0691

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抄録
〔緒論〕植物細胞の伸長には細胞壁が酸性条件下にあることが必須とされておりpH5.5~6.5が伸長には最適である。これは酸生長理論と呼ばれているが、この決定的な分子機構は解明されていない。酸生長理論がすべての植物についてあてはまるならば、高pHで根伸長は抑制されるはずであるが、アカザ科のSuaeda salsaは根伸長最適pHが6~8であった。根伸長のpHに対する応答が植物種によりどれほど異なるか、広範な知見がないため、様々な植物種で幼植物の主根伸長へのpHの影響を調べることを目的とする。またS. salsaはアルカリ塩類土壌に自生するため、好塩生・耐塩性植物との関連も興味が持たれる。そこで、モデル植物シロイヌナズナとその耐塩性近縁種Thellungiella halophila、耐塩性種が多いアカザ科のホウレンソウとホウキギを用いた。〔方法〕前栽培はpH6。本栽培は緩衝試薬としてMES、HEPES、CHES各5mMずつ加え、NaOHとH2SO4でpHを5.0、6.0、7.5、10.0に調整した処理液で48時間の主根伸長を測定。pH6.0区を基準とし相対値で比較する。〔結果〕シロイヌナズナ、ハロフィラ、ホウレンソウは、pH5.0、6.0で最も伸長をし、10.0ではほとんど伸長しなかった。ホウキギは7.5で最も伸長し、10.0では他の植物と比べて伸長を維持した。
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© 2010 日本植物生理学会
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