日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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WAVY GROWTH 3 RING-finger 型E3ライゲースファミリーはシロイヌナズナの根の重力屈性を制御する
*酒井 達也望月 進上原 由紀子鈴木 あかね原田 明子和田 拓治石黒 澄衛岡田 清孝
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p. 0692

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抄録
根の成長パターン制御は植物の成長と繁殖の限定要因として働く重要な生体制御機構である。環境刺激に応答した根の成長パターン制御の分子機構を明らかにすることを目的に、我々は傾けた寒天培地上で根の波状成長のピッチが小さくなるシロイヌナズナ突然変異体 wav3 の分子遺伝学的解析を行った。wav3 突然変異体は重力刺激に応答した根の屈曲が促進される一方、光に応答した屈曲が小さくなる。WAV3 遺伝子は、N末にユビキチンE3ライゲースによく観察されるRING-finger ドメイン、中央にタンパク質相互作用に働くvWA ドメインを有するタンパク質をコードしていた。WAV3は弱いながらもユビキチンE3ライゲース活性を示し、また相互作用するタンパク質探索の結果、RING-finger 型E3ライゲースとして既に明らかになっている SINAT ファミリータンパク質への結合能を示した。WAV3は類似した塩基配列を持つWAVH1, WAVH2, WAVH3 と共に遺伝子ファミリーをシロイヌナズナゲノム中に構成し、4つすべての遺伝子に変異の入った4重変異体は根の著しい重力屈性異常が観察された。我々の結果は、WAV3 ファミリーがシロイヌナズナの根重力屈性に必須の新しいユビキチンE3ライゲースファミリーであることを示唆した。
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© 2010 日本植物生理学会
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