抄録
側根が重力に対して斜め方向に成長する屈性である、傾斜重力屈性のしくみはほとんど解明されていない。本研究では、アズキを用いて原基形成後、側根は伸長する過程でどのように重力反応を変えるか調べた。また、重力屈性に関係する根冠や、コルメラ細胞、アミロプラストの大きさや数などを調べ、重力反応の変化との関係を考察した。その結果、アズキ側根は伸長中に重力に対する反応を数回変えていることが分かった。原基形成後、主根皮層内を重力方向に対して約90度の角度で伸長する段階をstage I、主根から出根後、重力方向に対して70-80度の角度を取る約1 mmの長さまでの段階をstage II、重力方向に対して一定の角度を保ちながら伸長する1-4 mmの段階をstage III、4 mmをこえ、ゆっくり重力方向に屈曲していく段階をstage IVとした。また、形態的な分析の結果、stage Iからstage IIに変化する際には、重力方向に沈降する、発達したアミロプラストを含むコルメラ細胞が根冠に形成されることが分かった。また10 mmを越えた側根の根冠コルメラ細胞では10 mmまでの側根の根冠コルメラ細胞と比較してアミロプラストの面積が小さくなった。このアミロプラストの変化はstage IIIにおいて重力感受が弱まることと関係がある可能性が示唆された。