日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ファイトカサン生合成酵素遺伝子クラスターに存在するイネP450遺伝子発現抑制株の解析
*岡田 憲典山崎 浩平蓑田 裕美古賀 仁一郎渋谷 直人矢島 新薮田 五郎豊増 知伸野尻 秀昭山根 久和
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p. 0704

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抄録
イネの主要ジテルペン型ファイトアレキシンの一つであるphytocassaneの生合成遺伝子は、2番染色体上において2種のジテルペン環化酵素遺伝子と6つのP450酸化酵素遺伝子からなる生合成遺伝子クラスターを構成している。これまでに、クラスター中央に位置するCYP71Z7がphytocassanes A, B, Dの生合成に関与することを明らかにした。本研究では、相互に相同性の高いクラスター内の他の4つのP450遺伝子 (CYP76M5, M6, M7, M8)について、これらのRNAi株を作製し、発現抑制がphytocassane生産へ与える影響を解析した。
得られたRNAi株におけるキチンエリシター処理後のphytocassanes 生産量をLC-MS/MSにより調べたところ、これまでに全てのphytocassanes の生産が起こらない株や、phytocassanes B, C, Eは顕著に減少するがphytocassane Aの生産のみ正常に起こる株を得た。このことは、個々のRNAi株において抑制されたP450遺伝子が異なるためにphytocassaneの生産性に変化が現れたことを示唆している。現在、RNAi株における各P450遺伝子の発現抑制の状態を詳細に解析しており、これらのP450が触媒する生合成経路内のステップが明らかになることが期待される。
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© 2010 日本植物生理学会
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