日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

キチンエリシターシグナル伝達過程に異常を示すシロイヌナズナ変異体の解析
*宮 彩子藤 茂雄矢元 奈津子川上 直人賀来 華江渋谷 直人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0710

詳細
抄録
微生物分子パターン(MAMPsあるいはPAMPs)認識に基づく植物による病原菌認識は、植物の基礎的病害抵抗性において重要な役割を果たしている。MAMPsエリシターの一つであるキチンオリゴ糖は、シロイヌナズナやイネにおいて各種の防御応答を引き起こす。我々は、シロイヌナズナ遺伝子破壊系統を用いた逆遺伝学的解析により、受容体キナーゼCERK1Chitin Elicitor Receptor Kinase1)がキチンオリゴ糖シグナル伝達で、中心的な役割を果たしていることを見い出した1)。さらに、新たなキチンシグナル伝達経路の構成因子を探索するため、シロイヌナズナアクチベーションタグラインを用いたスクリーニングを行った結果、キチンエリシター応答性が低下あるいは消失した変異体が複数得られた。キチンエリシター誘導性活性酸素応答が消失したひとつの変異体候補について後代の表現型の解析を行った結果、後代で表現型が逆転したことから、この遺伝子産物が防御応答の負の制御因子であり、アクチベーションタグラインでこの因子の過剰発現によって生じた防御応答抑制が、後代におけるサイレンシングによって逆に防御応答の昂進につながったという仮説を考えた。今回の報告では、このT-DNA近傍の遺伝子の同定とそれらの機能解析について報告する。1)Miya et al., PNAS,104, 19613, 2007
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top