日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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プロテオリポソームを用いた膜受容体機能解析手法の開発
*長田 友彦戸澤 譲瀬藤 未奈新屋 友規賀来 華江渋谷 直人
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p. 0709

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抄録
シロイヌナズナやイネの膜上には多数の受容体様分子が存在するが、多くの場合、それらの機能は未解明のままである。その理由の一つとして、これらの分子の発現量が低いことや、共存する蛋白質の影響などによって詳細な生化学的解析が困難であることが挙げられる。本研究では、そうした問題を排除し、なおかつ受容体を膜上に存在する状態で解析できる実験系として、高い翻訳活性を保持しているコムギ胚芽を用いた無細胞系でのタンパク質発現と、リポソームへの埋め込みによる受容体機能解析手法の開発を試みた。
この解析系を評価するため、当研究室で同定した防御応答に関わるキチン受容体であるCEBiP(Chitin Elicitor Binding Protein)とCERK1(Chitin Elicitor Receptor Kinase1)についてプロテオリポソームの調製を行った。CEBiPについては当初、プロテアーゼによると考えられる分解が起きていたが、N末端側にGSTを付加する、または、合成時にプロテアーゼインヒビターを投与することで単一のバンドを見出すことができた。CERK1についてはこういった処理をすることなく合成に成功した。CERK1においてはホスホセリン抗体により、自己リン酸化が起こっていることが示唆された。これらの結果から、本実験系が受容体の機能解析系として有用であることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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