日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物のLPS認識におけるシロイヌナズナLPS結合タンパク質2(AtLBP2)の機能解析とLPS受容体探索法の提案
*武藤 さやか厚山 恵里飯笹 英一永野 幸生
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p. 0711

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抄録
グラム陰性菌の細胞壁構成成分であるリポ多糖(lipopolysaccharide: LPS)は植物自然免疫を誘導するエリシターである。しかし、植物のLPS認識機構は全く分かっていない。我々は既に、シロイヌナズナLPS結合タンパク質2(AtLBP2)にLPS結合活性があること、更に、AtLBP2が植物自然免疫に関わることを明らかにしている。AtLBP2の詳細な機能解析を試みるに際し、我々は先行するヒトLBP(hLBP)研究に注目した。現在、AtLBP2がLPSシグナル伝達の増強または阻害に関わると予想し、研究を進めている。
また、hLBPと相同性の高いヒト殺菌性/透過性増強タンパク質(hBPI)はLPSと結合し、殺菌作用を示す。近年、魚類と無脊椎動物におけるhLBP/hBPI関連タンパク質がhBPI同様に殺菌・抗菌作用を示すことが報告された。そこで、AtLBP2の殺菌・抗菌作用にも注目し実験を進めている。
更に、我々は既にLPSが植物に対して成育阻害効果を示すことを明らかにしている。今回、植物のLPS認識(自然免疫)と生育阻害が同機していることが分かったので報告する。本研究結果は、LPS受容体やLPS認識関連因子の探索法として応用が期待できる。
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© 2010 日本植物生理学会
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