日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ低分子RNAの網羅的解析
*鈴木 孝征倉田 哲也大島 真澄西山 智明長谷部 光泰佐藤 豊
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p. 0722

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抄録
低分子RNA(small RNA)がDNAのメチル化、mRNAの分解、タンパク質翻訳の阻害などを通じ様々な遺伝子の発現を調節していることが明らかとなっていきている。mRNAの機能を調節する低分子RNAには大きく分けてmiRNAとsiRNAがある。前者はヘアピン構造から、後者はRNA依存性RNAポリメラーゼにより二本鎖RNAが形成された後、RNaseにより21から24塩基程度の長さに切断される。生じた低分子RNAはそれと相補な領域を持つDNAやRNAに作用し発現を調節する。多数のイネのシュート形成の変異株の原因遺伝子がsiRNA (特にta-siRNA)の生合成に関わるものであることが明らかとなり、低分子RNAの全体像を明らかにすることが形態形成を考える上で重要な課題となった。
我々は高速シーケンサー(SOLiDシステム)を用いて、イネ実生から抽出した低分子RNA の塩基配列を網羅的に解析した。野生型株とシュート形成の変異株から抽出した低分子RNAを比較すると変異株で21塩基からなる低分子RNAが相対的に減っていることがわかった。また低分子RNAが由来するゲノム上の領域について調べると変異株ではより広い領域から少量ずつもれるように発現していることもわかった。高速シーケンサーを用いることで見えてきた低分子RNAの全体像について議論したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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