日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ転写因子cDNA過剰発現イネ系統の表現型解析に基づく包括的遺伝子機能解析
*槌田(間山) 智子飯田(岡田) 恵子堀川 明彦宮尾 安藝雄永田 俊文保坂 アエニ菊池 尚志光田 展隆瀧口 裕子松井 恭子高木 優長村 吉晃市川 裕章
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p. 0723

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抄録
転写因子(TF)は、その支配にある遺伝子群の発現を調節する。TF遺伝子の過剰発現により、イネTFの働きを改変したイネ系統の作出は、TF自身および標的遺伝子群の機能および発現ネットワークの解明のための効果的なリソースになると期待される。本研究では約2,500種類ほどあるといわれるイネTFをコードする遺伝子座の約75%をカバーするFull-Length (FL-) cDNAクローンを用い、各種TF cDNA過剰発現(TF-OX)イネ系統を作出中である。また、産総研と連携し、同TFのキメラリプレッサー発現系統も作製している。始めに、各TF FL-cDNAに対して機能的ORF配列の解析を行い、推定されたORFをもとに、各TF cDNAのGatewayエントリークローンおよびTF-OXベクターを作製した。現在までに188種類のTF-OXベクターをイネに個別導入し、129種類のTF形質転換イネより再分化個体(総計847個体)を得ている。これらイネ系統の再分化当代の表現型を観察したところ、草丈の伸長、半わい性、多分げつ、散開型分げつ、稈や葉身のねじれ、短粒、病斑形成等の異常形質が、特定のTF-OXイネ系統群から見出された。本発表ではTF-OXイネ系統の作出状況、導入TF cDNAの発現、これまでに観察された興味深い表現型等について紹介する。
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© 2010 日本植物生理学会
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