日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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単細胞性紅藻Cyanidioschyzon merolaeにおけるGFPを用いた局在解析法
*佐藤 淳渡辺 智大沼 みお田中 寛吉川 博文
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p. 0737

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抄録
Cyanidioschyzon merolae (以下シゾン) は核、葉緑体、ミトコンドリアがそれぞれ一つずつという非常に単純な細胞構造を持つ単細胞性の紅藻である。ゲノム情報を用いた分子系統解析からも植物細胞の祖先生物に近い生物であることが示唆されており、植物細胞の基本機能を解析するモデルとして研究されている。また、分子生物学的解析法の構築も進んでおり、近年、一過的遺伝子導入法や遺伝子破壊法も確立された。
今回、我々はシゾンにおいてGFPを用いたタンパク質の局在解析法を構築した。GFPを発現させるためのプロモーターとしてapcC(CMO250C)に着目した。apcC は葉緑体に局在するフィコシアニンロッドリンカータンパク質をコードする遺伝子である。apcCの上流領域をGFP上流に組み込んだプラスミドをシゾン細胞へ一過的に導入し、蛍光顕微鏡を用いて解析したところ、GFPの蛍光が細胞質から検出された。またapcCの上流に加え、apcCのORF領域を組み込んだ場合ではGFPの蛍光は葉緑体から検出された。さらにヒストンH3をコードするCENH3 (CME099C)をGFPと融合させシゾン細胞内で発現させるとGFPの蛍光は核に集中した。以上の結果よりGFPを用いた局在解析法の有効性がシゾンにおいても示された。
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© 2010 日本植物生理学会
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