日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ニトロゲナーゼ類似型プロトクロロフィリド還元酵素の化学量論解析
野亦 次郎寺内 一姫*藤田 祐一
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p. 0738

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抄録
光非依存型プロトクロロフィリド(Pchlide)還元酵素(DPOR)は、(バクテリオ)クロロフィル生合成系においてポルフィリンD環を立体特異的に還元しクロロフィリドa(Chlide)を生成する反応を触媒する。DPORは、L-タンパク質とNB-タンパク質から構成され、各々ニトロゲナーゼのFe-タンパク質とMoFe-タンパク質と構造的に類似している。ニトロゲナーゼと同様にDPOR反応においてもATPの加水分解がChlide生成に必須であることは示されているが、その化学量論は未確定である。本研究では、Rhodobacter capsulatusのL-タンパク質とNB-タンパク質を用いて、様々なL-タンパク質/NB-タンパク質の量比(L/NB比)でDPOR反応を行い、ATP加水分解量とChlide生成量を検討し、その化学量論について考察した。ATP加水分解量は生成したADPをHPLCで分離することにより定量し、Chlide生成量は分光学的に定量した。その結果、Chlide 1分子当たりのATP加水分解量(ATP/2e-)は、L/NB比が高くなるほど直線的に増加し、この直線を外挿すると4という最小値が得られた。この値はニトロゲナーゼとよく一致しており、ATP加水分解に共役した電子伝達機構がDPORとニトロゲナーゼの間で保存されていることを示唆している。
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© 2010 日本植物生理学会
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